目標はバンタム級の4団体統一世界チャンピオン!一度は燃え尽きた天才少年が、6年の寄り道を経て見つけた、自分のボクシング道


■軽い気持ちでの入門から、U-15での優勝まで
小学5年生までは野球少年。家で見た新聞に、門下生募集広告が載っていて。「ボクシングってカッコいいかも」となんとなく惹かれ、軽い気持ちで入門した三谷大和スポーツジム。憧れの選手がいたわけでもなく、紹介されたわけでもなく、本当にたまたまです。あの時の募集広告が他のジムのだったら、そこに入門していたかもしれませんね(笑)
会長には入門当初から、目をかけてもらえていたと感じています。中2のスパーリング大会で、「強い」と有名だった選手と対戦して勝ったことがあり、周りの大人たちは「ジャイアントキリングだ!」と驚いていたのですが、会長だけは驚いていなかったですね。まぁ、僕もですが(僕はどんな試合でも、勝つ気でやるので)。


■目標を見失い、ボクシングから離れたものの…
トレーニングを続け、対戦を重ねる度に、勝つ喜び、勝ちたいという熱はどんどん強くなり、中学生の時にはすでに「プロになりたい」という想いは芽生えていました。でも、中学3年生の時にU-15で優勝した時に、ぷつりと切れてしまったんです。
プロになれるのは17歳から。その時の僕は15歳。「あと2年、どうすればいいんだ?」と思ったら、目標を見失ってしまったんですね。そのままジムを辞めてしまいました。

そこから6年間、ボクシングとは完全に離れていました。高校には行かず、鳶職につき、大人と混じって働いたり、仲間たちと遊んだり、充実した日々を過ごしていました。「もう一度ボクシングをやりたいな」「辞めなければよかったかな」とか、考えることも特になかったですね。
でも、三谷会長の甥っ子とは仲が良くて。ジムから離れている間も付き合いがあったんです。

ある日、ちょっと久しぶりに甥っ子がうちに遊びに来て。軽い調子で言ったんです。「これからジムに行くんだけど、一緒に行かないか」って。僕も、軽い気持ちでついていきました。そのまま「せっかく来たんだからサンドバック打っていかない?」みたいな流れになり…。そして次の日も遊びに来て…。今思えば、彼は最初から、僕をボクシングに連れ戻す気だったんでしょうね(笑)


■6年のブランクも引け目にならなかった、会長とのつながり
6年ぶりに三谷ジムの門をくぐった時は、「もう一度ボクシングをやろう」なんて気持ち、一切なかったんですよ。あくまで付き合い感覚の軽いノリでした。
普通、6年も離れていたジムに行くなんて、気まずいですよね? でも、僕が気軽に行けたのには理由があって。辞めた後も毎年、会長が年賀状をくれていたんです。だから、つながっている感覚はずっとあったというか。それがなかったら、甥っ子に誘われても「一人で行けよ」と断っていたと思います。
逆に、6年の間にもしも会長から年賀状だけじゃなく、「もう一回やろう。戻ってこい」なんてアプローチがあったとしたら、ウザくなって逃げていたかもしれません。
ただ、待ってくれていた。久しぶりに会って、変わらない笑顔で迎えてもらえた時には、暖かい気持ちになりましたね。 (マネージャーからの補足:会長は6年間、ず~っと気にしていました。「奨利、奨利」と何度、会長の口から聞いたことか(笑)」)


■スイッチが入った、すべてが変わった
戻る気もなく、軽い気持ちでサンドバックを叩くうちに、「やっぱり楽しいな。またやってみようかな」という想いが自然と生まれてきて、自然な感じで再入門しました。
不思議なことに、そこから本当にボクシングが面白くなって、一気にドはまりしたんです! とことんハマり込んで、「勝ちたい!」「プロになりたい!」と腹の底から熱が沸いてきて。完全にスイッチが入った感じでしたね。ジム仲間にも「奨利は顔つきが変わった。プロボクサーの顔になった」と言われました。自主的にストイックな節制もするようになり、ボクシング中心の生活になりました。100%自分がやりたくてやっているから、ツラいとはまったく思わなかったですね。

■これからの目標
プロになる前は、プロテスト合格を目標に。プロになったら、新人王を目標に。新人王になったいまは、日本ユースのベルトを目標に。とにかく、一つひとつ自分の目の前の目標をクリアすることに全力です。U-15で優勝して目標を見失ってしまった時とは違います。
新人王を目指してKO勝ちを重ねていた時も、会長とよく話しました。「新人王は、通過点だ」と。だから新人王を獲った時、もちろんすごく嬉しかったですが、すぐに「次は日本ユースだ」と意識が切り替わりました。
「ボクシングを極める道には終わりがない」それを6年間の寄り道も含めた長い時間をかけて、三谷会長とボクシング自体に、教えてもらった感じですね。
できれば、年内にはユースのベルトを奪取したい。それからまた次の短期的な目標を定めて、一つひとつ着実に仕留めていく。その繰り返しです。いくら大きな夢を掲げても、目の前の試合に勝たないと、次に行けませんからね。
もちろん、僕にも大きな夢、目標はあります。バンダム級での世界チャンピオン、そして4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)の統一チャンピオンになることです。最強の有名な日本人チャンピオンがいますが、対戦できるならチャレンジして絶対に勝ちます。 とはいえ、目の前の試合に勝って(できればKOで!)いくことで、必ず叶えてみせます!


■三谷ジムに、想うこと
ボクサーとしても、人としても、本当にたくさんのことを教えてくれて、成長させてくれる場所です。僕も初めて入門した小5の時から比べると、それなりに成長したつもりですが、まだまだ、まだまだです。もっともっと成長していきたいので、これからもよろしくお願いします! という気持ちです。

※2022年2月:第68回全日本新人王(バンダム級)を獲得した直後のインタビューです。



梅津 奨利(うめづ しょうり)
年齢:23歳
血液型:O型
身長:164㎝
階級:バンダム級
戦歴:7戦7勝(6KO)※2022年2月現在
三谷大和スポーツジム入門のきっかけ:新聞広告で門下生募集記事を見て「カッコいい」と思った
ボクシング歴:小5から中3まで続けた後、一度ボクシングを離れ、6年のブランクを経て、21歳で復帰
好きな食べ物:焼肉
趣味:YouTube動画を見ること(減量中は大食い動画などを見て、「試合が終わったらコレ食べるぞ!」とモチベーションにしています・笑)
よくやる失敗:よく携帯電話をなくします!

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